NEWS 01 Aug 2017-TOPICS

月刊EXILE 2017.8月号 真鍋大度さん対談

月刊EXILE 2017.8月号 真鍋大度さん対談画像①
月刊EXILE 2017.8月号 真鍋大度さん対談画像②
月刊EXILE 2017.8月号 真鍋大度さん対談画像③

黒木啓司(以下黒):初めてお会いしたのは昨年のグッチのアート・プロジェクト“GUCCI 4 ROOMS” のレセプション・パーティでした。それがご縁で、EXILE THE SECONDのライヴを観に来てくださって。まずその率直な感想をうかがってもいいですか?

真鍋大度(以下真):仕事以外で男性グループの単独ライヴを観るのは珍しいことなので、お客さんが反応するポイントが興味深かったです。女子に対する演出にもドキドキしました(笑)。最近僕はダンスが好きで、Rhizomatiksのエンジニアとも「よし、自分たちで踊ろう」と勉強してるところなんです。

黒:そうなんですか!

真:ダンスに対する審美眼がついてきたところなので、細かいところもより楽しめたんです。

黒:真鍋さんは、Perfumeさんをはじめダンスと映像のコラボというお仕事が多いですよね。

真:そうですね。よくリクエストされるのは、動きでとってるリズムはすでに視覚的に成り立っているから、それ以外の隙間を埋める世界を作ってほしいということ。たとえば、4拍目のキメで手を伸ばすシーンがあれば、その先の空間が感じられる絵を考えたりします。 良し悪しはあるんですけど、僕がやってるのは、一個一個の動きをデータ化して俯瞰で眺めるところから 作るというやり方ですね。ただ、ヒップホップ系はあまりやったことがないので、EXILE THE SECONDとやるとしたらどうするかなと想像しながら観てました。ダンスがフリーになるシーンもありますよね。

黒:はい。ソロはフリーです。僕は完璧にそう。

真:日によって出来に差が出たり?

黒:はい。すごくキマった!という日もありますし、その逆も……(笑)。

真:その振り幅が面白いですよ。バンドもいて、音楽的要素が占める割合が大きいことにも驚きました。

黒:バンドのグルーヴやヴォーカルとの掛け合いは、 その日その日で違うので面白いです。

真:大学時代ジャズ・バンドをやったりもしてたので、生演奏の音はやっぱりいいなと思いました。

黒:ありがとうございます。僕は今、九州発信のエンタテインメントを目指して”THE NINE WORLDS”というプロジェクトの種蒔き中なんです。東京オリンピックへの気運とともに、必ずアジアと繋がる日本の入口である福岡が注目されると思っていて。

真:クリエイターでも福岡に引っ越す人は多いですよ。実際、優遇制度があったりするので。

黒:福岡市の髙島(宗一郎)市長は面白い人ですからね。

真:DJやってたりしますよね(笑)。僕も会ったことがあります。たぶん、福岡は元々カルチャーに対する許容度が高いんだと思います。日本で初めてメディアアートを教えた九州芸術工科大学(現在は九州大学に統合)の卒業生が活躍していて、テクノロジー×アート/エンタテインメントという土壌もある。ライゾマも時々、福岡拠点のクリエイティヴ・ラボから人員を招いて共同開発してるんですよ。人材はかなりいると思います。僕も4年ほど前まで九州大で教えてたんです。

黒:授業受けてみたい!

真:半分は福岡の美味しいものを食べたり飲んだりしに行くためだったんですけど(笑)、生徒のレベルは高かったです。

黒:いい話を聞きました。ちょうど今、九州にスポットを当てるフェスの話も出たりしてるところなので。

真:こちらの業界にとってもいい話だと思います。実は先週、ある天文学者が宇宙からのデータを魅力的なものとして世に見せたいとのお話を受けて、イギリスの有名な天文台に行ってきました。イメージではなく、科学的根拠を入れた何かにしたいという先方の意向で、エンジニアのスキルで音楽的要素が扱える僕が呼ばれたわけです。技術畑という閉じた世界にいる僕は、世界一影響力のある宇宙のデータというポピュラリティと組んで初めてその技術を活かせる。啓司さんたちはすでにポピュラリティを獲得しているから、今後組むことになるクリエイターは力の発揮し甲斐があると思います。

黒:“THE NINE WORLDS”が“入り口”となって、 技術とお客さんを繋げられたらうれしいです。

真:クリエイティヴな思考を数値で判断するときは、正解か不正解かしかないです。エンジニアの仕事の95%はそれです。でも、大事なのは残り5%。それでジャンプできるかどうかが決まるんです。こうやって人と話してると、ふとアイデアが湧いたりすることもあります。

黒:僕らからの提案が、クリエイターの方たちの刺激となって思わぬ化学反応が生まれたら、“入り口”としてこんなにうれしいことはないです。

真:根底にストリート・カルチャーがある点も近いのかもしれませんね。つい昨日も、イベントでDJやってきたんですよ。最近は90年代の曲をいっぱいかけてます。

黒:ってことは、僕らのイベントにもDJとしてお呼びしてもいいんですか?

真:お客さんノッてくれるかな(笑)。今度ミックスしたものを聴いてもらってもいいですか?

黒:ぜひ!楽しみにしてます。

真:エンジニアって瞬発力を要求されないので、お客さんを見て即反応するDJをやると、なんか自分の中のバランスがとれるのかもしれません。歳を重ねて、本来好きだった音楽に原点回帰してるところもあります。瞬発力と言えば、ダンスはその最たるものですよね。

黒:ダンスの瞬発力ってつまりリズムのとり方だと思うんです。それは人や世代によってさまざま。90年代の音楽で育った僕は、ノリを重めにとるクセがあります。 時間で言うと0.0何秒の違いだと思うんですけど。

真:またデータの話になっちゃいますけど、CDのデータは1秒間に44,000個だけど、映像は30個なんですね。だから、微妙なニュアンスは実は削られちゃってる。だから僕は、ライヴでダンスを見たいんです。

黒:なるほど。

真:新しい技術が出ても、今はすぐ大衆化して飽きられちゃう。そこでどう生き残るかと言ったら、100人中99人の“いい”を目指すのではなく、自分が好きで、なおかつ一人か二人が“いい”と言うものを目指すしかないんです。そんな時代だからこそ、ライヴでしか本当のよさが味わえないダンスは、絶対残る。強いですよ。

黒:いやー、今日は勉強になりました。ぜひいつか何かでご一緒させてください。もう即、福岡方面とコンタクトをとってみます。ありがとうございました!