NEWS 01 Nov 2016-TOPICS

月刊EXILE 2016.11月号 猪子寿之さん対談

月刊EXILE 2016.11月号 猪子寿之さん対談画像①
月刊EXILE 2016.11月号 猪子寿之さん対談画像②
月刊EXILE 2016.11月号 猪子寿之さん対談画像③

黒木啓司(以下黒):今回、僕が夏に佐賀の御船山楽園で開催されている納涼竹あかりでの水面プロジェクションによるチームラボの作品「小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイングと蓮の花」を観て、感動のあまり共通の知り合いに連絡したら、なんとちょうど猪子さんと一緒に、徳島のご実家にいらっしゃって「来ますか?」と言っていただいて。そのまま佐賀〜徳島に飛んで、一緒にご実家までお邪魔して、阿波踊りに参加させていただいたんです(笑)。

猪子寿之(以下猪):あれは、ものすごく記憶に残る夜だったね。うちの母親の目玉焼き食べたもんね(笑)。

黒:本当にご馳走さまでした。でも、実は意外と人見知りな部分もあるので、こんなふうに人と一気に距離を縮めることってほとんどないんです。たぶん一緒に阿波踊り=ダンスをしたことで心を開けたところもあるのかもしれないのですが、猪子さんがあまりにも自然体だったのですぐに仲良くなれた気がしています。

猪:僕も体を動かすって大事なことだと思ってるから、一緒に阿波踊りができたことで仲良くなれたという気持ち、よくわかります!

————啓司さんが最初に猪子さんの存在を知ったきっかけはなんだったんですか?

黒:以前からチームラボのことは知っていたんですが、猪子さんの生き様を知ったのは、2014年に放送されたドキュメント番組です。エンターテイメントに向かう精神がすごく刺さって、こんなにかっこいい男性を久しぶりに観たなとその時に思ったんです。いつ頃から、デジタルとアートを融合させた作品を作ろうと思ったんですか?

猪:簡単に言うと子供の頃からサイエンスとアートが好きだったんです。大人になるにつれ、人間はサイエンスの発達によって世界が理解できるようになり、より見えるようになってきたことに気づいて。さらに、アートは人の固定概念を壊し、世界の見え方が変わっていくきっかけになるのかなって。例えば、フランスの有名な絵画に「パリの通り、雨」(ギュスターヴ・カイユ ボット)というのがあるんだけど(スマホで絵を見せる)、これって道が濡れて人は傘を差しているけど、雨は描かれてないでしょ。だけど、当時の人々には今みたいに雨が線のように見えてなかった。で、その後日本の浮世絵師が初めて雨を線で描いたとき、世界中の人たちは衝撃を受けて、雨が線のように見えるようになって、今では子供たちも雨は線で描くようになった。サイエンスっていうのは世界の見え方を広げて、アートは世界の見え方を変えていくんですよね。世界の見え方が変わると価値観も変わるんです。

黒:うわぁ、深い。それは大学時代に気づいたものなんですか?

猪:大学では物理をやってたんだけど、「大学の物理」って宇宙のすごい果てか、原子の中の素粒子がどうしたみたいな研究になっちゃうんだよね。もはやまったく見えないし、それにリアリティはないなと思ったから、だったら、アートで世界の見え方を変えたいなと思ったんです。

黒:正直、もっと複雑に絡み合った中から生まれてくるものですよね。ここで話してくれてもちんぷんかんぷんになるような考えとかもあるはずで。でも、それをアートと組み合わせたときにわかりやすくしてくれているのが猪子さんのセンスなんだと思うんです。

猪:うれしい!もっと言って(笑)。僕がやりたいなと思ってるのは、境界をなくすことなんですよ。絵画や彫刻のようなアートって観る側との間に境界のある “鑑賞するもの”でしょ。せっかくデジタルのある時代に生まれたんだから、今までなかったような概念でアートを創って新しい体験をつくりたいと思ったんですよ。

黒:体感するっていうことですよね。

猪:そうそう。“体験”を強制的にさせることで、新しい気づきや考え方が変わっていくんじゃないかなと思ってるんだよね。今回の“DMM.PLANETS Art by teamLab”(お台場で開催されていた超巨大なデジタルアート作品の展示会)も、体で考える、体で感じる=体でアートに突入していくことがコンセプトだから。考えるっていうと人間は頭だけのことを想像するんだけど、もっと体で考えるという感覚があることを知ってほしいし、体感してほしいんだよね。

黒:あの入口の「やわらかいブラックホール–あなたの身体は空間であり、空間は他者の身体である」 もすごかったです。

猪:二足では歩けなくて思わず手をついてしまうぐらい柔らかいでしょ。あれで、身体っていうものを感じてもらいたかった。

黒:導入を暗くすることによって、“五感を研ぎ澄ませろ”というメッセージがあるのかなと思っていました。 暗闇の中で足の裏に感覚を集中させて、一気に開けた瞬間に光のステージが見えるんですよね。

猪:やっぱり啓司さんはダンサーだから、いつも体で感じて、体で考えてる。人間は体の塊だってちゃんと知ってるよね。

黒:なるほど。僕が踊っているところも観てほしいんで、今度、ぜひライヴを観に来てください。

猪:それがさ、Twitterで公式的な展覧会の情報とたまに“ズボンが破けた”みたいなことしか書かないぐらい筆不精なんだけど、なんと2013年にねEXILEの東京ドームライヴを観に行って、さらにツイートしてんの!「社員に誘ってもらってEXILEのライヴに行ってきた!半端ない!ひっくり返った!」って。ひっくり返ってたらしいよ、俺(笑)。

黒:本当ですか?ライヴに来てくれてたんですね!というか、徳島でしてくださいよ、その話!(笑)

猪:阿波踊りに夢中で(笑)。

黒:僕が参加しているEXILE THE SECONDというグループは楽曲的には海外にも通じるものだと思っていますし、チームラボさんの演出とすごく合うんじゃないかと勝手ながらですが、思っているんです。なので、ぜひ一緒にタッグを組めたらうれしいです!

猪:是非!!!そうだね、ワクワクするようなことしよう!

黒:また、個人的にも“THE NINE WORLDS”というプロジェクトを立ち上げて、九州をエンタテインメントで盛り上げるべく活動をしているので、そこでももしご一緒できるとうれしいです!

猪:光栄ですね。実は、ダンスって人間にとって重要な行為だと思っているんです。もちろんエンタテインメントだけど、それだけじゃないと思っていて、人間は体で考えることが大切な気がしていて、もっともっとダンスが重要なものになっていってほしいと思っています。実は去年、“チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地”というタイトルで企画展を開催し ていて、観客自体も踊りながら見てほしいというテーマを掲げていました。さっきもお話ししたように、体験しながら考える・学ぶことをしてほしいなと思っているので。そして夢としては、世界中でアートによる遊園地のようなものを作っていきたいと思っていて、ぜひ何かご一緒できたらと思います。 黒:アートの遊園地!すごくワクワクしますね。何かぜひ一緒にエンタテインメントできたらと思いますが、僕は来年も阿波踊りで猪子さんと一緒にコラボレーションさせていただきたいと思っています(笑)。